ほぼ毎日走るSL列車に山間の急勾配登るアプト式鉄道―
静岡県のほぼ真ん中・大井川に沿って走る大井川鐵道の各線は、茶畑からダムまで移り変わる沿線の景色とレトロな風情が魅力です。

静岡県に住んで間もない矢野Yさんは、4月の土日に大井川鐵道全線と寸又峡を1泊2日で旅してきました。
実際に行ってみるとどんな感じなのでしょうか。

早めに出発すると損をする?

4月の土曜日、8時50分。金谷駅に着いたら大井川鐵道の窓口にもう何人か並んでいました。
駅舎入口から入った人とJRのりかえ口から入った人で混乱していてどっちの列に並んでいいのやら。

乗る予定の列車は9時01分。その後は約2時間後なので乗り遅れたら大変です。
やっとのことで「大井川周遊きっぷ2日用」を購入し、列車に駆け込みます。

スタートは大井川本線。金谷9時01分発普通千頭行きで千頭へ向かいます。

SL列車で向かってもよいのですが、本日のダイヤでは昼の1本しかなく、スタートが遅くなってしまうため、明日の帰路のみ乗ることにしました。

古い電車のクロスシートに陣取り、印刷して持ってきた列車時刻表を見ながらこの先の行程を整理することにしましょう。
列車はゆっくりと走ります。そして、揺れます。

金谷から1時間13分かかって10時14分、千頭に到着。

ここから先は山岳地帯を通る井川線(南アルプスあぷとライン)。まもなく列車が出るとアナウンスされていますが、休憩と食事を兼ねて千頭で下車して散策することにします。
12時28分発井川行きまでに戻って来ることにしました。外は日差しが強い。
千頭駅
しかし、駅を出て驚いたことに千頭駅前の飲食店はだいたいどこも11時30分からなのです。
意外な盲点でした。時間を有効に使おうと思って金谷を早く出発し、井川線沿線には食堂が少ないためここで早めの昼食をとろうと思ったのですが、事はそううまく運ばないものです。

でも探してみたら一つだけ11時から開いている食堂が見つかりました。駅を出て右の方、茶羊羹を売る店の近くです。ここで山菜そばを注文。750円。おいしかった。緑茶もおいしい。

大自然に会いに行く非日常感が心地よい 井川線

昼過ぎに駅へ戻り、井川へ向かいます。

井川線列車

井川線(南アルプスあぷとライン)ホームに停まっている小振りな客車に乗り込み、クロスシートに座ります。
12時28分発、井川行き。ベルが鳴った後、笛の合図でゆっくり発車。

スピーカーが悪いのでしょうか?車掌のアナウンスが聞き取りにくいです。

アプトいちしろからはアプト式ラック鉄道区間。後ろにアプト式用の電気機関車(EL)を連結するために少し停車します。ホームに降りて連結作業を見てみましょう。
アプト式機関車連結
丁寧に連結します。

アプト式区間
アプト式区間は山肌を縫うように急勾配と急カーブが続いていてゆっくりと登って行きます。

長島ダム
大きい。長島ダムが右手に見えると歓声が上がりました。

長島ダム
長島ダム。アプト式区間はここまでです。

アプト式区間が終わると山の谷間に広がる水面。奥大井レインボーブリッジで接岨湖を渡ります。
奥大井レインボーブリッジ

関の沢橋梁
そして、森の中にある高さ70.8m、日本一高い関の沢橋梁を上から望みます。

千頭を出てから1時間50分近く。トンネルを抜けると右手に井川ダムが見えてきました。
井川ダム
緑の山間に浮かぶ水色の湖を堰き止める灰色のコンクリート人工物。ダメ押しの景色。壮大な自然に人間の手を加えて造られた景観には、怖いくらいの迫力があります。

井川
14時18分。終点井川に到着。まさに秘境。

折り返し14時49分発千頭行きに乗り、奥泉まで同じルートを戻ろうと思います。
井川線は時間かかりますが、「大自然に会いに行く」非日常感がとても心地良かったです。

運転下手だと死ぬ? 山道を行く寸又峡線バス

16時05分に奥泉に着きました。
そば、りんごや羊羹、餅菓子などを市場みたいに地面で売っています。
駅前に何もないからでしょうか。

寸又峡温泉行きのバスは16時40分。待ち時間30分以上。微妙な乗継時間。
「もうちょっとなんとかならないかしら」。
バス待ち客は皆ここで何か買って食べることになりました。

本日最後の乗り物、路線バス寸又峡線。
これが山道なのですが、くねくねとしたヘアピンカーブの連続で日光「いろは坂」よりすごい。

「ひゃー」。
ほとんどセンターラインなしの細い道ですれ違いも難しいくらい。
それなのに対向車を知らせる信号灯が3ヶ所しかない。
信号灯がないところでは運転士の判断で先に通したり。
一番前乗って死ぬかと思いました。いや運転下手だと本当に死ぬでしょう。

湯は最高 寸又峡温泉

寸又峡温泉「ペンション寸又峡」。本日はここに泊まります。

本当に昔のペンションといった感じでハード全体が老朽化しています。
築年数は40年は超えていてメンテナンスしていない感じ。
歩くとギシギシ音がします。

私の泊まる部屋はトイレも洗面台も共同です。
なぜかベッドが三台。それ以外に何もない。
照明とそれを載せるサイドテーブルがあるだけ。
ペンション寸又峡
ベッドは見た目はそうでもありませんが、古いタイプ。
座ると沈み込むというか埋もれるような感じ。スプリングが弱い。

ハンガーはあります。アメニティはタオル、小さい歯磨き粉。バスタオル、コップはありません。

共同の浴場はまるで夜勤用の風呂でシャンプーはあるけどあとは固形石鹸。
他人が使った固形石鹸は嫌なので他の施設の日帰り入浴に出ようと思います。

夕食は「お食事ですよ―」と下から呼ばれて一斉にとります。まるで林間学校。
座る席も宿側に決められます。自分で好きに座りたい。

メインは鍋料理、肉は鹿か猪で山菜たくさん。しいたけは分厚い。
鍋には既に味噌が入っています。自家製味噌だそうです。マイルドな味。

他にヤマメの姿煮。甘めの味付け。などなど。

日帰り入浴は「翠紅苑」へ。「ペンション寸又峡」の係員には「こっちの道が安全ですよ」と教えていただき、
「翠紅苑」に18時30分頃到着。
受付に申し出るのですが、接客がだめ。最後に「1時間だけですから」なんて言い放つ始末。
これは客に失礼。
ビジネスホテルでもこんな言い方しません。この点は泊まっている「ペンション寸又峡」の方がましです。

湯は最高。ヌルヌルとした化粧水のような湯。
同じような質の温泉では七沢温泉を上回ります。
接客態度は七沢より下でしたが。
あと当然かもしれませんが、施設はきれいですし、見たら料理も全然違いました。

さて、「ペンション寸又峡」に戻ってくるわけですが、

隣の部屋の音が全部聴こえます。ティシュ取る音もテレビの音も。
夜中に隣の部屋の人のいびきで目が覚めてしまいました。隣の人ではなくて隣の部屋ですよ。

朝食はトースト、目玉焼き、野菜、シリアル、コーヒー、オレンジジュースなど。

あくまで安い宿泊所でそれを覚悟しているなら良いけれど静かに過ごしたいなら厳しい宿と言えます。

ペンション寸又峡

宿泊施設

大自然に囲まれてさわやか気分!素朴なペンションライフを楽しむ
家族的なサービスと手作りの山の料理が自慢のアットホームなペンション。周辺には鉄道ファンの人気を集める「SL」やスリル満点の「夢のつり橋」もある。源泉掛け流しの温泉は、お部屋ごと貸切でどうぞ♪
静岡県榛原郡本川根町千頭317-2

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翠紅苑

宿泊施設

風情ある大正モダンレトロな空間、つるつる美肌の温泉が人気の湯宿
とろ~り♪「美女づくりの湯」とも言われる温泉や
山の幸をふんだんに使用した四季の味わいを堪能できる秘湯の宿。
雄大な南アルプスの山々に抱かれた寸又峡で過ごす
温泉・食・自然を満喫できるひと時を
静岡県榛原郡川根本町千頭279

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次回:SL列車に乗車。実際に乗車してみてわかった意外なこととは?

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